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地震保険料がまた上がるかも。必要かどうかは自分で勉強して自分で決めるべき 「もしもの時」の地震保険

 今月初旬、地震保険料を決める損害保険料算出機構が、政府の首都直下地震の発生確率予測が大幅に上昇したことを受けて、保険料を全国平均で約30%引き上げる飛鳥があるとの試算をまとめたと報じました。

 

地震保険料は平成26年7月に東日本大震災を踏まえ平均15.5%の大幅な値上げがあり、最も保険料が上がった地域で約30%上昇しています。今回は昨年の引き上げ率の約倍になりますから、リスクが高い地域(特に関東、東海地区)は30%の上昇率では収まらない可能性が大きいです。

 

 

 

そうなると契約者の負担は大きく、地震保険に加入する人が減少することも予測されます。加入者が減ってしまうと支払保険金の基盤である収入保険料が少なくなり、もし大規模震が来れば、受け取る保険金が満額にならなくなる可能性も出てきます。

東日本大震災で支払われた保険金は約1.6兆円。それに対し首都直下型地震の場合最大3.1兆円が予測されています。

契約者が減ると保険料の備蓄が不足してしまうため、保険料を認可する金融庁は数年かけて段階的に上げ、最終的に30%程度にする方向で検討しているようで、早ければ来年から実施したい意向のようです。

現在の地震保険の加入率は58.1%で過去最高のようです。保険料の急激な上昇で加入率を下げるのは出来るだけ避けたいところです。

 

地震保険料は損害保険料算出機構が政府の発生確率予測を下に算出し、金融庁の認可を得て決めます。

 この政府の発生確率予測ですが、地震調査委員会は14年末、30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率について、関東地方を中心に引き上げ。東京都新宿区46%(13年末26%)、さいたま市51%(同30%)、横浜市78%(同66%)、千葉市73%(同67%)としています。 

今回首都圏が中心の発生率で見直しがされていますが、地震保険は加入者の相互扶助の観点によるものなので首都圏以外の自信保険加入者も一定の値上げの対象となります。

地震保険料は住んでいる都道府県や住宅の構造によって異なります。地震の発生率が高い地域は、先程も述べましたが30%を越える可能性もあり、一方で住宅の耐震性度が優れている建物では30%を下回ることもあります。昨年7月の保険料の改訂時には、岡山県など地震の起こる確率が低い地域はは地震保険料は上がりませんでした。上昇率も地域によってそれぞれで、関西では大阪府は30%の上昇でした。

一方で割引についても見直しがされました。

【参考資料】

割引の種類改定前割引率改定後割引率
免震建築物割引 30% 50%
耐震等級割引 耐震等級3 30% 50%
耐震等級2 20% 30%
  • すでに免震建築物割引・耐震等級割引(耐震等級3)・耐震等級割引(耐震等級2)を適用しているご契約については、平成26年7月1日以降に、地震保険の更新または自動継続を迎えた時点より、改定後の割引率を適用します。(確認資料を追加でご提出い ただく必要はありません。)
  • 耐震等級割引(耐震等級1)・耐震診断割引・建築年割引の割引率(10%)に変更はありません。

 免震建物とは最近話題になっている免震ゴムなどを建物の基礎部分に組み込むことによって地震の揺れを吸収する機能を持った建物のことです。

タワーマンションなどの多くが免震建物になっています。

平成26年7月の改訂時には割引の見直しもあったため、保険料の上昇部分を吸収してくれるという恩恵を受けた契約者もいましたが、今回の改訂では流石に割引の見直しまでは難しいかもしれません。既に50%割引までしていますから。

 

免震建物割引及び耐震等級割引の適用に必要な書類は下記のものがあります。

●住宅性能評価書

●認定通知書

●共用部分検査・評価シート

●住宅性能証明書

●技術的審査適合証

●住宅用家屋証明書

●認定長期優良住宅建築証明書

フラット35Sに関する適合証明書

 

その他の割引には、建築年割引きがあります。これは昭和56年6月以降に建築された建物に10%の割り引きが適用されます。建築確認書や建物登記簿謄本など建築年が確認できる公的資料を提出します。

 

【マンションに地震保険はいらない?】

時々、マンションに住む人には地震保険は要らないという方がいらっしゃいます。それは地震保険金の支払方によるものがそういう発言をされてしまう原因のひつとだと思います。

 

以下に地震保険について引用しています。

 

地震保険とは

 地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする、次のような損害を補償する保険です。

対象となる損害

 

保険の対象

 地震保険の対象は、居住用建物と生活用動産(以下「家財」)です(ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や宝石、美術品などは含まれません)。

加入方法

 地震保険は、単独で加入することはできず、必ず火災保険とセットで加入することになっています。
 なお、地震保険に加入しない場合は、その旨を申込書に記載することで、地震保険には加入しないことができます。

保険金額

 地震保険に加入する際の保険金額は、地震保険に関する法律によって、地震保険がセットされる火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で設定するように定められています。ただし、建物については5,000万円、家財については1,000万円の限度額が設けられています。

 

支払方法

 居住用建物、家財について生じた損害が全損、半損、または一部損に該当するときに保険金が支払われます。なお、損害が「一部損」に至らない場合は 、保険金は支払われません。
(1) 全損の場合:地震保険の保険金額の全額(100%)を支払います。
(2) 半損の場合:地震保険の保険金額の50%相当額を支払います。
(3) 一部損の場合:地震保険の保険金額の5%相当額を支払います。

全損

建物: 建物の主要構造部である軸組(柱、はり等)、基礎、屋根、外壁等の損害の額が、その建物の時価額の50%以上になった場合、または焼失あるいは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上になった場合
家財: 家財の損害額が家財の時価額の80%以上になった場合

半損

建物: 建物の主要構造部である軸組(柱、はり等)、基礎、屋根、外壁等の損害の額が、その建物の時価額の20%以上50%未満になった場合、または焼失あるいは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上70%未満になった場合
家財: 家財の損害額が家財の時価額の30%以上80%未満になった場合

一部損

建物: 建物の主要構造部である軸組(柱、はり等)、基礎、屋根、外壁等の損害の額が、その建物の時価額の3%以上20%未満になった場合
床上浸水あるいは地面から45cmを超える浸水の損害を被った場合
家財: 家財の損害額が家財の時価額の10%以上30%未満になった場合

 時価額とは、同等の物を新たに建築あるいは購入するのに必要な金額から、使用による消耗分を控除して算出した金額をいいます。

 

保険金の総支払限度額

 地震保険に関する法律には、1回の地震等によって政府と保険会社が支払う保険金の総支払限度額が定められています(「地震保険制度の変遷」をご参照ください。)。
 この限度額は、大地震が発生した場合に、巨額な損害となる可能性をもつ地震災害の特性によるものであり、政府としても無限に責任を負うことができないため設けられています。ただし、この限度額は、関東大震災が再来した場合にも保険金の支払に支障のないように決定されています。
 万が一、「支払われるべき保険金の総額が総支払限度額を超える場合」、契約ごとに支払われる保険金は次の算式により削減されることがあります。

 [自損害保険料算出機構より引用]

 

ご存知のこととは思いますが、上記のように地震保険は全損しても評価額の半分までしか支払われません。

そして、マンションの専有部分の場合、もともとの評価額が購入価格に比べかなり低く見積もられます。これは、購入価格の中にはマンション自体の共有部(廊下、エントランス、エレベーター、ベランダなど)の価格も入っているからです。

例えば、3,000万円のマンションを購入したとしましょう。その内約1/3が土地代とします。建物の購入価格は2,000万円になります。この金額には専有部と共有部が含まれます。この金額のうちの専有部は一般的に約40%で評価します。

すると専有部の評価額は2,000万円×40%=800万円となります。

800万円?それでぜんしょうしても元に戻るの?とよく言われますが、例えば大阪府の新築費単価(1㎡に掛かる建築費)が10.7万円です。すると、

800万円÷10.7万円=74.8㎡

となります。つまり、74.8㎡のマンションなら800万円で元に戻るという計算になります。

一概にこの計算に当たるのではありませんが、単純に評価するとこうなります。

近年の保険会社の保険金額(評価額)の算出方法は、建築年と購入価格から保険金額を評価します。同じタイプの部屋でも階数によって価格も違いますし装備も変わってきますので、購入価格が一番正しい評価になるからだと思われます。

さて、地震保険の話に戻りますが、先ほどの評価額800万円の専有部だとすると地震保険はこの評価額の50%までしか保険をかけられません。つまり、400万円です。

3,000万円で購入したマンションが地震で倒壊しても400万円しか出ない、ということになるのです。

一戸建てならば、土地は残るし建物の半分だけでも出れば大分助かりますし、2,000万円の家ならば1,000万円の保険金が出るのですからマンションに比べればかなり違います。

その他に、マンション専有部では地震保険が出ることが殆どない、と言う人がいます。

マンションの専有部はそれぞれの管理規約によって違いますが、専有部分が柱(壁)に及ぶ「壁芯基準」と壁の内側が専有部分とする「上塗り基準」があります。

私は今まで契約してきたマンションの殆どが「上塗り基準」でした。「壁芯基準」は片手ほどもあったかどうか・・・

では、地震が起きた時に「上塗り基準」の専有部だとどのような被害が出るのでしょうか?せいぜいドアが壊れたり、トイレや洗面所の配管が破損したり、床暖房が壊れたり、キッチンが破損するといったケースでしょうか。それでも、かなりの揺れがなければこのケースも少ないかもしれません。上の表でもわかるように全損とみなされるには50%以上の損害が出なければなりませんので、800万円の評価額ならば400万円の損害が出て初めて全損とみなされるのです。建物で、このようなケースなので、家財の地震保険を必要と思わない方も多くいらっしゃいます。保険の支払いの対象となる程の損害が出ないのでマンションでは地震保険は要らないとかんがる人が多いのです。

 

では、本当にマンションでは地震保険はいらないのでしょうか?どのようなケースがあるのでしょうか。

まず、地震が原因で火事になったケースがあります。東日本大震災でもマンションの個室部分が燃えている映像がありました。

スプリンクラーがあるから大丈夫」と言うかもしれませんが、大きな地震により配管が壊れたり、電気系統が損害を受けてしまえばスプリンクラーも作動しません。そして、燃えていますが地震が原因なので地震保険の対象となるため、火災保険だけでは保険金が出ないのです。更に、地震が原因の火災が下の階や隣の部屋から起こり、自分の部屋へ延焼してきても、これも「地震が原因の火事」なので地震保険の対象となるのです。

その他にも、このようなことが考えられます。

自分の部屋は殆ど被害がなくても、予想以上にマンションの躯体部に損害があり、マンション自体が全損と認定されれば、専有部の地震保険から保険金が支払われます。

海の近くであれば津波の心配もありますし、活火山の近くであれば火山の被害もあります。

あくまで、もしもの事を考えての保険ですから、年間数千円程度であれば、という事で契約される方は多いです。

 

地震保険の目的】

しかし、地震保険では元には戻りません。地震保険の保険金額が評価額の50%しかかけられないのは支払保険金の問題があります。地震が起きると多くの方が被災します。全ての被災者が元通りにする保険金を支払えるほど備蓄がありません。

支払い方法も「全損」「半損」「一部損」の3パターンしかありません(現在のところ)。これは、保険会社や調査員が現場を見て、いちいち見積もりを取るなどせず、早く損害状況を判断し、できるだけ早く保険金をお支払いすることで、当面の生活をしのいでもらうためのお金なのです。

そもそも元の生活に戻る、という目的ではないのです。

しかし、元に戻らないまでも、一時金としてお金が出ることは被災された方にとっては本当に助かるものだそうです。

 

【最後は自分で決めましょう】

地震保険に限らず、保険に対してよく「保険は掛け損」だとか、「保険なんて出ない

」と言われます。でも、実際保険金が支払われている人もいますし、出ない場合は免責事項になっているからと思われ、約款をよく読んでいなかったり十分な説明を受けていないことが多いのだと思います。

インターネットや人の意見ばかりで判断するのではなく、保険がどのような時に出て、どのケースが出ないのか、という事を自分で調べたり、保険会社や代理店の人に質問した上でご自身で判断されるべきだと思います。

そうでなければ、もし本当に被害にあった時に「自分で判断したんだから仕方ない」と思えますし、よく調べもせずに人の意見だけで判断してしまうと後悔してしまいます。人のせいにもできませんしね・・・

 

 

絶対に知っておきたい! 地震・火災保険と災害時のお金 第2版

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