子供の遊び場は何処へ?サッカーもおちおちヤレナイ時代 個人賠償責任保険が助けてくれるかも
ちょっと疑問符が多い判決が話題になっています。
以下記事から引用させていただきました。
バイクの男性が道に飛び出してきたサッカーボールを避けようとして転倒し、事故がもとで死亡したとして、遺族がボールを蹴った男児の両親に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は20日までに、判決日を4月9日に指定した。子供が第三者に損害を与えた場合の親の責任について判断を示すとみられる。
一、二審判決によると、2004年2月、愛媛県今治市の市立小の校庭で、当時11歳の男児がゴールに向けて蹴ったボールが門扉を越えて道路へ転がり、バイクで通りかかった80代の男性が転倒して足を骨折。男性はその後、寝たきりとなり誤嚥(ごえん)性肺炎で死亡した。
一審・大阪地裁と二審・大阪高裁はいずれもボールを蹴った男児の過失を認め、監督義務のある両親に賠償を命じた。
19日の弁論で、両親側は「(今回のケースが監督義務違反になるなら)親は常に子供を監視下に置くか、屋外の球技を禁止するしかない」とし、憲法が定める教育の自由などを侵害すると主張。遺族側は「ボールが公道に飛び出す危険性は十分認識できたはずで、教育不十分と言わざるを得ない」と反論した。
元記事
親の監督責任、最高裁判断へ 子供の蹴ったボールよけて事故 :日本経済新聞
もし、少年の家族の誰かが個人賠償責任保険に入っていれば、賠償金を保険で支払うことができるでしょう。このような事故は日常生活では起きうる出来事で、特に子供が遊びの中で夢中になり、周りが見えなくなってしまうと加減を知らずにボールを蹴ったり、物を投げることはよくあること。
そういった事態に備え、個人賠償責任保険を用意しておくことは大事だと思います。
学校などでは、団体契約で任意で学生用の保険を用意しているようです。
ただ、事故があった2004年、当時はさほど個人賠償責任保険が認知されていないと思われますので、自動車保険などの特約として加入していない可能性も高いし、もし、加入していたとしても、最近のように1億円の賠償限度額で契約していたかどうか、といったところでしょうか。
さて、気になったのがこの事故のポイントですが、いくつかありまね。
①門扉の高さが約1.3mであり、明らかにボールが飛び出る危険が高い。
②道路に面した低い門扉の場所にゴールポストを置いていたのは危険では。
③バイクの運転者も道路のそばのグラウンドでサッカーをしているのを確認できたはず。ボールが飛んでくるかもしれないと危険予知ができなかったのか。
④そもそも転倒した被害者が、年齢が87歳でバイクを運転していたのを、危険と思わなかった家族の責任はないのか。
⑤被害者は1年半後に肺炎で死亡したが、転倒事故と因果関係があると裁判官が認めた。
まず①ですが、今後、被告側(少年側)が判決を不服とすれば、学校側(施設側)の責任も問われる可能性もある。門扉の高さも低く、もう少し高くしておいても良かったのではないか。また、サッカーや野球などでボールが外に飛び出すことは十分に予測できる門扉の高さではあるため、学校側の過失を問われることもあり得る。
②も同じく学校側の施設管理の範囲であるとも言える。
③だが、運転能力が十分にあり、危険予知が出来ていれば防げた事故かも知れない。
④は、普段、家族は87歳でオートバイを運転していた被害者をちゃんと見ていたのだろうか。今回は被害者だったが、むしろ加害者になっていた可能性も十分予測できる。
⑤この判決の中で一番気になる点が、事故による骨折と、1年半も後に起こった肺炎による死亡事故に因果関係があると認められた点。
因果関係については、「骨折により生活が一変した」という事で因果関係を認めているようだ。
しかし、脳の持病の影響もあったとして賠償額も減額されているとのこと。
では、③に戻るが、そもそも運転しても大丈夫な人だったのか、という疑問の方が起きてしまう。
高齢者の多くは、一度入院すると、かなり体力や気力を失うケースが多々見られるのは事実。認知症が進む人も多いです。
家族にすれば、「骨折するような事故がなければ、入院しなかった」と主張するのは理解できますが、87歳という年齢を考えると、認知症になった原因の全てが自己のせいだと言い切れるかどうか。更に、1年半後に肺炎で亡くなったのも事故が原因と因果関係を認めた判決。
こうなってくると、一体子供はどこで遊べばいいのでしょうか?
公園でボール遊びもできなくなります。
被害者救済もいいですが、故意があったわけでもなく、過失もあったというのもどこまで認めて良いのか。そして親の監督責任の及ぶ範囲はどこまでなのか。
ただ、怪我をさせたことに関しては事実なので、治療費などを負担することは当然といえば当然なのだが、そこから、被害者側の主張の認める範囲が行き過ぎているのでは、と感じてしまいます。
骨折のせいで痴呆・寝たきりになり、それが原因で誤嚥性肺炎で亡くなったところまで因果関係を認める判決は今後の判例に影響を及ぼすかもしれません。
保険会社の対応もそのうち変わってくるでしょう。
通常、このようなケースでは、治療費、慰謝料、後遺障害などは当然賠償の対象となりますが、寝たきりになった原因が事故のせいかどうかについては医師の判断によるものになります。
ただ、ここまでなら分からないでもありません。
しかし、誤嚥性肺炎になって死亡したとろこまで認めることはまずありません。
が、今回のような判例が繰り返されると、いずれは保険会社も広く賠償を認めるようになるかもしれませんね。
今回の判決は今後もまだまだ続くかもしれませんので都度見守っていきたいと思います。
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