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保険代理店のつぶやき


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火災保険の商品改訂 台風や自然災害のリスクが予測できない現状を見越して

台風15号が九州を縦断して去って行きましたが、今回も大きな被害を残していきました。

次第瞬間風速が65mと8月では過去最高記録とその風力は凄まじく、乗用車やトラックが幾つも横転している映像が流れ、多くの雨量も残していきました。

 

明日から多くの保険会社や保険代理店の電話が鳴り響き、損害鑑定人が休日返上で走り回る日が続くと思われます。

 

 

近年は台風被害だけでなくゲリラ豪雨や局地的豪雪による被害もあり保険会社もいよいよ火災保険の見直しをしなくてはならない、という結論に達しました。

今年の10月1日から火災保険の改訂が実施されます。

今回の改訂の主なポイントは

・火災保険料率の見直し

・長期火災保険が10年間を限度とする

です。

 

火災保険料率の見直しの要因は、自然災害の不確実性の増加が挙げられます。更に地球温暖化に関する昨今の研究から、自然祭がの将来予測について不確実な要素が増していることから、長期にわたるリスク評価が困難なものになっています。

また、老朽化住宅の増加による漏水事故や、一方で新規住宅着工戸数の減少等による収入保険料の減少も保険料改定の一因のようです。

どこか自動車保険と同じような感じですね。

しかし、しばらく大きな改訂がなかった火災保険もいよいよ収支の面で苦しくなってきました。

確かに、一度水災事故でも起これば100万円単位で保険金を支払いますし、火事なら1件の事故で済むところが、水害や風災害は広範囲にわたりますから、支払われる保険金もかなりの金額になります。

 

では、保険料はみんな上がってしまうのでしょうか?

実はそうではありません。地域によって大きな差が出ています。実際は保険料が下がる地域も多いのです。 

 

まず、保険料が上がる地域です。

大きく保険料が上がる都道府県が

福岡県、佐賀県長崎県熊本県大分県、宮崎県、鹿児島県沖縄県

です。台風被害が特に多い地域ですね。保険料も1.5倍ほどになる場合もあります。

 

全体的に保険料が上がる都道府県が

秋田県山形県福井県岐阜県三重県山口県徳島県

です。太平洋側の風水害が多い地域と、北陸の雪害が多い地域です。

 

比較的下がる傾向に有る都道府県が

宮城県福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、富山県、石川県、京都府大阪府島根県香川県岡山県愛媛県

です。

 

火災保険参考純率のご案内

http://www.giroj.or.jp/service/ryoritsu/ksiryo201407.pdf

 

もしかしたら、福島県や東京都など、地震が多い地域がなぜ下がるの?と思う方もいるかもしれませんが、地震が原因による災害はあくまで地震保険の対象になりますので、火災保険料とは関係ありません。ちなみに地震保険料は昨年7月に保険料が上がっていますし、来年も見直しをするかもしれないとのことです。

ただ、これらの都道府県別の保険料の傾向は、全体的に見てのことです。

建物の構造や各保険会社、保険会社の商品によって異なりますので、ご確認してみてください。

 

これだけ大きな改訂があると保険代理店としては頭が痛いところです。

お客様にはちゃんと火災保険の改訂があることをお伝えしないといけません。契約時期によっては契約者に不利益を与えてしまうこともあるからです。

例えば、大阪の建物で9月の満期契約があるとしましょう。

大阪は10月1日以降、保険料が下がりますが、無保険状態にするわけにはいきませんので9月の満期更新は当然行います。

しかし、お客様にとってはすぐに保険料が安くなるのに納得できない人もいるでしょう。これが1年間の契約なら我慢も出来るでしょうが、3年や5年契約なら何とかして欲しいと思うに違いありません。

その場合は、9月に更新した契約を、10月以降に一旦解約し、再度契約しなおす方法があります。ただ、保険の契約内容や保険商品によっては、解約した時の返戻金が少なく、結果として損をする場合もあるので、ちゃんと不利益が出ないか確認してみましょう。

 

契約のやり直しで言うと、10年以上の長期契約ができなるようになる為、今の契約を長期契約に切り替えることを考える人も多いです。

長期契約だと何がいいのかというと、割引率が大きいことです。

例えば、1年契約を30年更新し続けるより、30年契約にすると、30年契約の方が約半分ほどの保険料になるので、保険料のメリットは非常に大きいものになります。

ただ、長期の場合、その間に新しくもっと補償内容がいい商品が発売されるかもしれませんし、短期では付帯できた特約が長期契約では付帯できない、もしくは補償が下がる場合もありますので、ちゃんと確認した上で契約のし直しを検討してみましょう。

例えば、家財の破損が長期契約では担保できない商品もありますし、新しい補償で言えば、最近話題の「個人賠償責任保険」特約の支払限度額が無制限になっていたり、保険会社が示談交渉してくれる示談交渉サービスがついているようになっています。

時代時代によって、補償が抑えられたり、ニーズにあった商品になったりしていますので、一概に保険料だけで長期契約がいいとは言い切れません。保険料も一時的にたくさん必要になりますし。

 

代理店にとっても今回の改訂はとても大変です。

保険料の説明、改定内容の説明、中途解約や中途更新の提案や、メリットデメリットの説明など。説明しておかなければ後からトラブルになりかねませんから。

 

10年契約しかできなくなるのも、一部の代理店にとっては大きな問題です。

多くの保険会社や代理店が、10年越が出来なくなっても、10年したら満期が来るからええやん、と言いますが、10年なんてあっという間。その度に満期更新の事務手続きが発生します。それに、35年の保険料に比べ10年契約の保険料は、約3分の1。一時的に入ってくる保険料が少なくなりますので、売上予測が変わってしまいます。

マンション入居者向け火災保険をになっている代理店にとっては死活問題です。

 

勿論、既存の契約者の中で1~5年契約の方には長期契約の案内をします。

流石に35年は長くても20年、30年と少しでも長いほうが安くなりますから。

 

とにかく忙しい時期に忙しい改訂が舞い込んできましたよ。。。