ほけんがせいかつのシゴト

保険代理店のつぶやき


 スポンサードリンク

これからも増えそうなドローンの事故 個人で空撮を楽しむのも保険が必要?

ここ最近、無人ヘリコプター:ドローンの事故が多く報道されています。

よく考えれば、今までもラジコンヘリコプターの事故はあったと思うのですが、『ドローン』という呼び方と商品が普及するにつれ、ドローンに関わる事故が注目されるようになりました。

 

5月9日には善光寺境内で「中日庭儀大法要」の生中継中に僧侶らの列に1台のドローンが落下した。その後、15歳の少年が「飛ばす練習中をしていたら風にあおられて落ちた」と名乗り出た。実際はこの少年はドローンにカメラを付け、空撮をしてネット上で生中継をしてたいこともわかっています。

 

 

 

余談ですが、この少年には“前科”があり、川崎中一事件の容疑者の自宅前を生放送する騒ぎを起こした少年と同一人物とのこと。ネット上で目立つ(アクセスアップ)ためなら何でもやります、と言うような人物なのかもしれません。

 

さておき、行事は中止になることなく無事行われましたが、もし人の上に落ちていればけが人が出ていたかもしれません。

 

このような事がないよう、事前にマスコミには空撮の中止を通達していましたが、個人の行動まで規制できなかったようです。

 

先日、政府が飛行範囲が広いドローンに対して無線免許を義務付ける方針を発表しました。しかし、今回事故があったドローンは通信距離が約2kmで、この対象にはならず免許は不要です。

 

それにしても、この少年の両親はきっと気が気ではないでしょう。普通に考えれば。

 

もし、人の上に落ちていればけが人が出た可能性がありますし、テロの危険性から中止にでもなってしまえばその賠償金は恐ろしい金額になりそうです。

 

15歳の少年がドローンを変えるお金を持っているのか、とか疑問に思いますが、通信範囲が100m程度で稼働時間も1時間未満なら1万円前後で購入できますし、この少年が動画投稿サイトでお金を稼いでいれば、10万程度のドローンぐらいなら購入できていたでしょう。今回のように注目を集める動画の投稿なら直され注目を集めていたと思いますから、それなりに稼いでいたかもしれません。

しかし、まだ15才なので親の管理責任を問われる可能性も考えられます。子を持つ親としては心配のネタがまた増えたというところでしょうか。

 

【ドローンの保険はどんなものがあるのか】

では、そんなドローンに掛けられる保険があるのか。

先日東京海上日動火災保険から発売が発表された「産業用無人ヘリコプター総合保険」という商品があります。

補償内容は

・機体の損壊(落雷・盗難を含む)

・機体の捜索・回収費用

・対人・対物賠償(1名 1億円/1事故 1億円)

です。

保険の対象になるドローンは

・機体の総重量が150kg未満かつ10万円以上の産業用ヘリコプター

です。

ただ、商品の名の通り、「産業用」に限られており、レジャー用、競技用のヘリコプター(ドローン)は対象外となります。

 

 

その他の保険会社で「ドローン」を対象にした保険といえば、無人空撮機最大大手の販売会社「DJI」のファントム3に自動で三井住友海上火災保険が引受保険会社となる対人・対物賠償保険が付帯される商品があります。こちらは保険期間が1年間で、満期が来ると2年目からは個人での加入となります。保険料も年間5千円程度と見込まれています。

 

ただ、こちらも産業に限られていますので個人向けには販売されていません。

 

【個人向けのドローン保険はあるの?】

しかし、ラジコンヘリコプターを楽しむ勿論方も多いのでラジコン保険というのもあります(引受保険会社 AIU保険)。

 

ラジコン保険の概要

 ラジコン保険は、(一財)日本ラジコン電波安全協会の「ラジコン操縦士登録」(いわゆる協会の会員)をされた会員の皆様方のために設けられたラジコン補償制度で、"不測の事態に万全の備えを"モットーにラジコン操縦士登録者が各位の相互扶助を目的としているものでラジコン保険のみの加入はできません。
 この賠償責任保険は、日本国内でラジコン模型の操縦中に不注意によって他人を死傷させたり、他人の財物を壊した場合、被害者に支払わなければならない法律上の損害賠償金や争訟のための費用をお支払いするものです。

(注)1 : 業務使用時の事故については、補償の対象になりません。
2 : 「産業用ラジコン操縦士」の賠償保険等は、当協会では取り扱っていません。(IQIなど保険会社に直接、ご相談ください。)

 

     

(1)保険金額(お支払い限度額)

1事故につき 1億円限度

 

 

(2)自己負担額(免責金額)

1事故につき 5万円
賠償額から上記自己負担額を差し引いた額を保険金としてお支払いいたします。

 このラジコン保険は産業用ヘリコプター保険とは逆に、業務上の事故を対処としていません。

 

個人の方はこのラジコン保険を検討したほうが良いのかもしれませんが、ラジコン操縦士登録をしなければならない為、ちょっとドローンで空撮を楽しみたい、程度の人にとってはなかなな手間が掛かり、全てのドローン所有者が加入するべきと考えると現実的ではないように思います。

 

その他の保険で考えてみると、「個人賠償責任保険」が適用できるかどうか、ですが、「個人賠償責任保険」の約款の保険金をお支払いできない主な場合の中に、「航空機・船舶・車両または重機の所有・使用または管理に起因する損害賠償は保険の対象にはならない、と記載されています。

ドローンは「航空機」とみなされますので「個人賠償責任保険」ではドローンによる事故の賠償はできないことになります。

「個人賠償責任保険」約款より

保険金をお支払いできない主な場合

  • 被保険者が、所有・使用または管理する財物の損壊について、その財物に対し正当な権利を有する者に対して負担する損害賠償責任
  • 被保険者と同居のご親族に対する損害賠償責任
  • 航空機、船舶・車両*または銃器の所有・使用または管理に起因する損害賠償責任 など
  • *自転車など主たるが人力であるものやゴルフ場敷地内におけるゴルフカートなどを除きます。

 

ただ、個人的には、車両事故を補償の対象外としている「個人賠償責任保険」が、道路交通法上車両となる自転車事故は保険の対象としていることを考えると、「ドローン」の事故も保険の対象にして欲しい感じですね。

 

【今後は新しい保険商品に期待】

しかし、手軽にドローンが購入できる時代になった今、空撮を楽しむ人も増えていくと考えられます。電車マニアには電車の空撮を楽しもうとするでしょうし、市街地の空撮を楽しむ人も出てきます。

 

善光寺の事故のように、ユーザーが期待する使用範囲が個人向けドローンの性能や安全性を超えてしまうケースもあり、同じような事故が今後増えるでしょう。

楽しんでると性能なんか気にしてられませんからね。

 

そう考えると、せめて対人・対物賠償を補償する、ラジコン保険のような個人レジャー向け保険を早く商品化して欲しいですね。

 

 

事例に学ぶ賠償責任保険の実務 個人保険種目編