今後は「加害者」が「被害者」に?もらい事故賠償の疑問
こんな判決されると困るよな・・・
的な判決が先日より大きな話題となってネット上も騒がしいです。
ただ、殆どが裁判官や原告側に否定的な意見ですね、当然ですけど。
さて、その事故及び判決ですが、まず、もともと時事この記事がこちら
30日午前7時15分ごろ、福井県あわら市瓜生の国道8号で、福 井市中央2丁目の男子大学生(19)の乗用車と坂井市丸岡町吉政、会社役員森川圭造さん(44)の乗用車が正面衝突した。大学生の車の助手席に乗っていた 同市春江町田端、洋服店経営絹谷宏基さん(34)が頭を強く打ち、搬送先の福井市内の病院で約12時間後に死亡した。後部座席の福井市大宮4丁目の男子大 学生(19)が鎖骨骨折、森川さんが腰の骨を折るなどともに重傷を負った。運転の大学生は軽傷。
あわら署によると、大学生の車がセンターラインを越えたらしい。現場は片側1車線の見通しのよい直線道路。
この記事と写真から見るに、まっすぐ走っていた白い車(プリウス)に居眠り運転していた車(モビリオ)がセンターラインを超えて正面衝突したようです。
自動車保険の対応をするなら、通常の過失割合はモビリオ:プリウス=100:0です。
全て保険対応できるとするなら、
・運転手:学生(19)=人身傷害保険より治療費など
・助手席:洋服店経営者(34)死亡=モビリオの対人賠償より慰謝料(自賠責保険を超える分)
・後部座席:学生2人=モビリオの対人賠償より治療費、慰謝料など(自賠責保険を超える分)
・プリウス運転者:会社役員(44)=モビリオの対人賠償より治療費、慰謝料など(自賠責保険を超える分)
となります。
対人賠償はまず自賠責保険から支払われます。この場合、1名の治療費は120万円、慰謝料(死亡・後遺障害)3000万円を限度に支払われ、それを越える金額が任意保険から支払われます。
写真を見る限り両車両ともフロント部分がかなり損害が大きいので恐らくどちらも全損扱いになるのではないでしょうか。
そして、モビリオの突っ込み様ですが、真正面より少しガードレールの方までずれています。ちょっとはみ出した程度のものではなく、正面衝突するほど、ほとんど逆走してきたほどではないでしょうか。片側一車線で道幅がさほど広くありませんから、プリウスの運転手は避けようにも避けられ無かった事が写真から想像できます。
悲しい事故ではありますが、取り敢えず任意保険で保険金をお支払いして一件落着・・・出来ない事故だったのですね。
まず、問題がこちら。
・任意保険に家族限定特約が付いていた
・運転していたのは任意保険の被保険者の家族ではない
・任意保険の被保険者(車の所有者)は助手席に乗っていて亡くなられた洋服店経営者(34)
・事故の原因は運転していた学生(19)が居眠り運転をしていたためセンターラインを超えたことが原因。
そうすると、先程の保険の支払い内容から、任意保険が適用されないため自賠責保険のみの支払いになります。
家族限定特約が付帯されていると、対象となるのは「同居の親族・別居の未婚の子」に限られます。詳しくは下記に説明します。
[家族限定特約]
1記名被保険者の配偶者*1
2記名被保険者またはその配偶者*1の同居の親族
3記名被保険者またはその配偶者*1の別居の未婚の子*2
*1婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある方を含みます。
*2未婚の子とは、これまでに一度も法律上の婚姻歴がない子をいいます。
当然今回のケースは全くの他人ですから、「家族限定特約」を付帯しているとモビリオの任意保険の対象にはなりません保険の対象にはなりません。
しかし、ここで一つの救済方法があります。
運転していた19才の少年の親が所有している自動車に自動車保険を掛けていれば、「他社運転危険特約」が自動付帯されるケースです。
[他社運転危険特約]
他社運転危険補償特約とは、臨時に運転した「他人の車」で事故を起こしてしまった場合に、その車の保険よりも、自分の保険を優先的に使用できるようにする特約です。
この特約上で言う「他人」とは下記(1)~(4)以外の者を指します。(1)記名被保険者(2)記名被保険者の配偶者(3)記名被保険者またはその配偶者の同居親族(4)記名被保険者または配偶者の別居の未婚の子
例えば、別居している親戚や友人の車を運転中の事故であれば対象になりますが、同居の弟の車を運転中の事故であれば対象外になるのです。
きっとこれらの保険の対応ができさえいれば、プリウスの運転者は、もらい事故なのに賠償請求をされるようなことは起こらなかったように思います・・・多分。
判決はもらい事故を受けた側が4000万円の支払いを命じられるという判決に。
判決理由に理由に、「対向車の運転手が、どの時点でセンターラインを越えた車を発見できたか認定できず、過失があったと認められない」とした一方、「仮に早い段階で相手の車の動向を発見していれば、クラクションを鳴らすなどでき、前方不注視の過失がなかったはいえない」と、過失が全くないとの証明ができないとした、としています。
その他の理由として、プリウスの前には2台の車が走っており、その2台は2台は避けることができた事。プリウスは左側を歩いていた歩行者に注意がいっており対向車の発見が遅れたかもしれない、という事も事も。
しかし、写真でもわかるようにわかるように、右にハンドルを切れば対向斜線に出ますし、左にハンドルを切れば田圃に落ちてしまいます落ちてしまいます。クラクションの件も、先に走っていた2台が既ににならしていた可能性もあります。
被害者救済が叫ばれる判決が多いですが、このケースは、対向斜線を越してきた車の登場者が者が必ずしも被害者ではないはず。
今後、「加害者」が「被害者」となって裁判を起こしかねない判決結果でした。